映画「萌の朱雀」を見てから作品制作。
純粋で綺麗がゆえに切なく儚い思春期の淡い恋心。
そんな心の悲しみにも絶えず美しく映える山々の緑。
「またね」が確実ではない別れの道。
もどかしい三者三様の目線、しぐさ。
そんな三人に接するおばあちゃんの強さ。
離散する家族の姿を情感たっぷりに見せてくれたのは以前感想を書いた
「沙羅双樹」の河瀬直美監督。
本当にこの人は気まずい雰囲気とか、行き詰る瞬間を描くのがうまいなと思う。
そしてそれを背景の鮮やかな自然と心地よい気分に開放してくれるのも素晴らしい。
監督はこの作品で史上最年少でパルムドールを受賞された。納得。
正直なにが良いって、主演の女の子が最初は普通の田舎の女の子だったのに、小
さい頃から兄貴として仲良く生活してきた叔父(歳は20代前半くらい)に恋心を募らせ
そしてある悲劇が続いてからは、いつも泣いて震えて悩んでっていう、そのしぐさが
もう守ってやりたいって思わざるをえないくらい感情移入してしまうのです。
この女の子が今何をしているのかは分かりませんが、母親と部屋で話をするときの
あの、うつむき涙を溜めて目をキョドらせている表情が頭から離れません。
この子には役の中での話ですが絶対幸せになってほしいなと思った。
そう思いながらラスト見てるともうボロボロ涙が流れました。
私は仲良くなりすぎるとあとで必ず来る別れが怖くてたまらないので、仲良くなること
から怖がってしまうのですが、この映画見ていると、作品としては何度だって見たい
名作なんだけど、あの女の子は心が締め付けられるからもう一度見ようか躊躇して
しまう・・・そんな作品です。
そのあとテレビでフルマラソンのドキュメントを見たのですが、これはこれであかん。
走者には色んなゴールで待ってる人がいて、心に秘めた思いがある。
それがゴール手前から爆発して、そんな時の顔がみんな輝いていて、待つ人も涙が
輝いていて、いつのまにやら「あっれ?またなんか鼻の上が痛いぞ?」
ってなりながら涙がボロボロ。
どんだけ泣かすねん。
おかげで良い作品が描けました。皆さんありがとう。
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